PyCon JP 2026

8/22 (土) · 12:00 – 12:45 @ 会議運営事務室

Talk中級JAデータエンジニアリング・分析

環境構築なしで始める配列解析:ブラウザPython×Wasmで実現するアラビカコーヒーのサブゲノム解析

廣田 哲也 (Tetsuya Hirota)

概要

この発表では、ブラウザ上で動作するPython実行環境(Pyodide)とWebAssemblyを組み合わせ、配列解析などの軽量なバイオインフォマティクス処理を「環境構築なし」で実行できるツール(Pyowasm)の設計と実装について紹介します。

バイオインフォマティクスでは、CWLやNextflowなどを用いて複数ツールを組み合わせた解析が一般的ですが、その実行には依存関係の解決や環境構築が必要となり、小規模な解析や試行においては大きな負担となります。本ツールは、この「軽い処理のための重い準備」を解消することを目的としています。特に、試行的な解析を素早く行いたい研究者や、環境構築に不慣れなユーザーにとって有効です。

紹介する実装では、高級コーヒーとして知られるアラビカ種(Coffea arabica)のサブゲノム解析を題材にします。アラビカ種はカネフォラ種とエウゲニオイデス種の交雑による異質四倍体であり、本ツールを用いて、どちらの親種由来の遺伝子が発現しているかを配列レベルで特定するオーソログ解析(RBH)を、複雑な環境なしに実行できることを示します。

このようなブラウザ上での解析実行を可能にするために、PythonとJS/Wasmのランタイムを跨ぐブリッジ設計に加え、ブラウザ環境では既存の高速アライメントツール(DIAMONDなど)が利用できないという制約を踏まえ、k-merベースの探索手法をPythonで再設計しました。さらに、コード管理と配布を両立する自動化の仕組みをどのように構築したかを解説します。これにより、ブラウザ上でPythonベースの解析ツールを設計・配布するための実践的なアプローチを示します。

スピーカーについて

廣田 哲也 (Tetsuya Hirota)

廣田 哲也 (Tetsuya Hirota)

株式会社ドッグラン の廣田 哲也 (Tetsuya Hirota) です。 ドッグランでは、主に生命科学に関するデータベース構築、データ検索システム、データ可視化システムの開発を行っている一方で、私は製造業向けのシステムの開発を行うことが多いです。 その本業とは別に、主に子供たちに向けたプログラミング講座を、2016年から牧之原市の生涯学習講座として開催しています。